71.　年末の大掃除は「掃除だけ」でいい理由

私自身、実は「片づけられない歴」がと～っても長い人間でした。

なぜか年末になると急に謎のスイッチが入り、「ちゃんとしなくちゃ」「このままじゃ新しい年を迎えられない」と焦り始めてしまうのです。

そして毎年のようにやっていたのが、片づけの本を本棚から引っ張り出してきて、あれこれ読み漁ること。

「なるほど」「これもいいかも」と知識だけがどんどん増えていき、気づけば時間だけが過ぎている……。今思えば、それ自体が大きな時間のロスでした。

実際には、掃除をすればよかっただけなのに、年末というタイミングが「もっと良くしなければ」「今こそ変えなければ」という気持ちを必要以上に刺激していたのだと思います。

収納を見直したり、新しい方法を探したりすることは決して悪いことではないと思います。でも、それにはしっかりと時間と余裕が必要だったんです。

ただでさえ忙しい年末に、その“余裕のいる作業”まで一緒にやろうとすると、掃除も終わらず、気持ちも落ち着かないまま年末を迎えてしまうことになりがちです。

だからこそ、私は今「年末の大掃除は掃除に徹する」と決めています。

もっと良くしたい、変えたいという気持ちが出てきたら、それは来年以降のテーマとしてメモしておくだけ。今は目の前をきれいにすることを優先します。

大掃除は、完璧を目指すためのものではなく、新しい年を気持ちよく迎えるためのもの。

また、55歳を過ぎる頃になると、若い頃と同じような体力や気力で年末を乗り切るのは難しくなってきます。

長時間動き続けると疲れが残ったり、無理をすると年明けまで体調を引きずってしまうこともあるんですよね。だからこそ、「全部やらなければ」と自分を追い込む大掃除は、そろそろ手放してもいいのではないかと思うのです。

これからの暮らしは、頑張りすぎることよりも、いかに心と体に負担をかけず、気持ちよく日常を送れるかが大切になってきます。

年末の大掃除も、その延長線上にあるものですよね。

完璧に整えることより、「今の自分にできる範囲で整える」という視点に切り替えるだけで、年末の気持ちはぐっと楽になるはずです。

掃除をして、空気を入れ替えて、必要なところだけをきれいにする。

それだけでも十分、新しい年を迎える準備は整っています。

私は、これから先の暮らしを軽やかに続けていくためにも、年末くらいは自分に優しい選択をしていこうと思います。