佐賀のライフオーガナイザー梅野真由美です。
母に福岡への引越しを提案した際、まず最初に伝えたのは「今よりかなり狭い部屋になる」という現実でした。
引越し先は1LDK。姉と二人で暮らすことになるため、単純にスペースは今の3分の1以下。しかも、今までの一人暮らしとは違い、“二人分の荷物”を収める必要があります。
最初の説明ではこの3点を重点的に伝えました
*家電は姉がすでに持っているため、実家の家電はすべて手放すこと。
*タンスなどの大型家具は置くスペースがないので、作り付けのクローゼットを使うことにし、家具は処分する。
*洋服や装飾品などの身の回りのものは、必要最小限に絞って持っていくこと。
母は話を聞いている間、「はいはい」と一応返事をしていました。でも、実際にはどこまで理解できていたのか…今思えばとても怪しかったと思います。
実際に仕分け作業に入ると、問題が次々に浮き彫りになりました。
まず家電やタンス類。これに関しては、配送に高額な費用がかかること、福岡の部屋には物理的に置けないことを繰り返し伝えた結果、渋々納得してくれました。
問題は、それ以外のすべての“こまごましたモノ”たちです。
母は、「捨てたくない」「まだ使える」「福岡に持っていきたい」とすべてのモノに対して拒否反応を示しました。
これは母の年代ならではの価値観かもしれません。モノの少ない時代を生きてきた母にとって、“簡単に手放す”という選択肢自体が、そもそも受け入れがたいものだったのです。そしてモノの多くは、買った時の価格や思い出と強く結びついており、それがさらに手放しを難しくしていました。
仕分け作業は一つひとつ母に確認しながら進めていきましたが、作業はなかなか進まず。
そんな中、焦った姉が「これはもういらないよね」と、母に確認せずにどんどん仕分けを進め始めたんです。
これが火種に。
「勝手に決めないで!私の物を捨てないで!」
母は激怒し、姉との間に大きな言い争いが発生してしまいました。
姉にも姉の事情があります。実は姉も、かなりモノを持っているタイプで、今回の同居を機にかなり手放したと言っていました。
狭い部屋の現実、自分の持ち物の量も理解したうえで、「母の荷物をこれ以上増やせない」という思いがあったのでしょう。
私はというと、姉と母の両方の気持ちがわかるぶん、「どうにか折り合いをつけなければ…」と、ライフオーガナイザーとしての立場もあり、正直焦っていました。
母にはもう一度、「今の住まいに比べて福岡の部屋はかなり狭い。全部持っていくのは物理的に無理だよ」と丁寧に説明。
それと同時に、工夫もしました。
たとえば洋服。母に実際に着てもらうと、そもそもサイズが合わず、母自身が驚いて「これはもういいわ」と納得する場面も。
デザインが昔のままで、今の母には似合わないことにも自分で気づいてもらうようにしました。
また、最近足腰が弱ってきていることもあり、「モノが多いとつまずいて転ぶ危険がある」と、転倒リスクを具体的に伝えるようにもしました。
母の気持ちに寄り添いながら、でも現実的な制限も伝える——そのバランスの難しさを痛感した時間でした。
【次回予告】「何度説明しても“わかってもらえない”問題」についてお話ししたいと思います。
片づけkankan
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