佐賀のライフオーガナイザー梅野真由美です。
「高齢の母との奮戦記」シリーズ第2話です。 序章はこちら 1話はこちら
「だから、前に言ったよね…?」
母の引越し準備が進むなかで、何度もそう言いたくなる瞬間がありました。
一度は納得してくれたはずの荷物の話。だけど、私たちが帰省するたびに「持っていく」と言うモノが、なぜか少しずつ増えていくのです。
たとえば、以前「もう使わない」と手放したはずのバッグが、次に行ったときには「これ、やっぱり持っていく」とテーブルに置かれていたり。
小皿やスカーフ、文房具…どれも一つひとつは小さいけれど、積み重なれば段ボールの数は確実に増えていきます。
5月に、姉と私が1週間の滞在期間をとっており、その間に「持っていく荷物」を決める必要がありました。
「話したはずなのに」——その繰り返しに、姉も私もだんだん疲れていきました。
母の“持っていきたい”には理由がある
母は、「これ、高かったのよ」とか「このお皿、○○さんに褒められたの」と、持っていきたい理由を語ります。
そこには、戦後のモノのない時代を生きてきた母なりの価値観と、“思い出”がしっかり根づいていました。
だから簡単には手放せない。
その気持ちは頭では理解できても、引越し作業の現実とはなかなか折り合いがつかないのです。
姉と母の再びの衝突
ついに姉が口火を切りました。
「こんなのいらないでしょ、もう捨てるからね」
「ちょっと!勝手に決めないでよ!私のものなのに!」
「じゃあどこに置くの?入らないって何回言えばわかるのよ!」
母と姉、二人の怒りが爆発し、大声で言い合いに。
見ている私もつらかった。姉の焦りも、母の不安も、どちらの気持ちもわかるから。
姉は姉で、すでに自分の持ち物をかなり手放していて、「これ以上は無理」と追い込まれていたのだと思います。
仲裁する“娘でありライフオーガナイザー”の私
その場をなんとかおさめるため、私はまず姉にこう伝えました。
「気持ちはよくわかるけど、お母さんにとってはまだ“自分で決めたい”気持ちが強いみたいだよ。勝手に決めると逆効果だと思うよ」
そして母には、図に描いた間取りを見せながら、荷物の量と置けるスペースの関係を再度説明しました。
「実際にこれ全部は入らないから、捨てるものを選ぶんじゃなくて、同じ種類のモノなら“この中でこれが一番好き!”を選ぼうよ」と提案。
洋服は実際に試着して、写真に撮って見てもらうと
「なんか、思ってたより似合わないねえ…」
と、母自身も少しずつ納得してくれるようになりました。(これ前にもやってます。笑)
そして最後に、もう何度も伝えてきたセリフをまた言いました。
「モノが多すぎると転びやすくなるよ。福岡では安心して、安全に暮らしてほしいからさ」
母は少し寂しそうに、でも静かにうなずいてくれました。
“わかってもらえない”には、時間がかかる
何度説明しても、すぐには伝わらない。
でもそれは、“わかろうとしていない”のではなく、“受け入れる準備がまだ整っていない”だけなのかもしれません。
相手を変えるよりも、まずは自分が焦らず寄り添えるかどうか。
ライフオーガナイザーとして、そして娘として——その難しさと向き合う経験となりました。
次回は、母の「記憶」と「感情」に触れたときの気づきについてお話ししたいと思います。
片づけkankan
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