佐賀のライフオーガナイザー梅野真由美です。
母の引越し準備もいよいよ大詰め。
手書きの図面を見せながら、「今よりずっと狭くなるから、持っていけるモノには限りがある」と何度も伝えてきました。
準備した段ボールは10個。
「この10箱に入るだけ!」と決めて、母にも何度も説明していました。
でも現実はそう簡単にはいきませんでした。
納得と撤回の繰り返し
「はい、わかった」と一度は納得しても、しばらくすると「やっぱりあれも持っていく」と言い出す母。
もう入らないからと伝えても、「何とかなるでしょ」と軽く返される。
ようやく10個の段ボールをすべて詰め終わり、「これでおしまい!」と言ったときも、
母の頭の中にはまだ“持っていきたいモノ”がたくさん残っていたようです。
さらに大変だったのは、詰めたモノに対しても「入れたっけ?」という不安が何度も襲ってくること。
「あれ、あのカップどこ?」
「スカーフが見当たらないんだけど、捨てたの!?」
処分品の山を探し始める母に、姉と私は「それ、3番目の段ボールに入ってるよ!ちゃんと書いてあるから」と説明。
それでも納得せず、結局段ボールを開けて中身を一緒に確認することに。
中には「それじゃない!」と食い違いが起こり、しまいには「勝手に捨てたでしょ?」と姉に詰め寄る場面もありました。
「お母さんに一つひとつ確認してから入れたやん…」
姉と私で何度も説明しても、母の心には不安が残ったままでした。
モノは、母の“安心”そのものだった
このとき私は改めて思いました。
母にとって、モノは単なる道具ではなく「自分を支えてくれる存在」。
それが一つでも手元から離れると、不安になってしまうんだと。
説得の言葉も、図面の説明も、段ボールのラベルも、
“心の不安”を前にすると、なかなか届かないんだと痛感しました。
突破口は「気分転換」のひらめき
この状態をどうやって乗り越えたらいいんだろう…?
私たち姉妹も、かなり行き詰まっていました。
そんなとき、ふと思い出したんです。
母が数日前、ぽつりと口にしていた言葉。
「福岡に行ったら、もう山形には行けなくなるかもしれないから、一度行っておきたいなぁ…」
その時の私たちは、すぐに答えられず、言葉をにごしてしまいました。
足の悪い母を連れて帰るのは簡単ではないし、引越し準備もまだ中途半端。
無理に行くより、今は片づけを優先するべきだと、どこかで線を引こうとしていたのかもしれません。
でも——
このままズルズルと停滞したまま進めるより、
今ここで、“気分転換”という名の突破口を開いたほうがいいんじゃないか。
そう思った私は、ある提案をしてみることにしたのです。
「明日までに終わらせて、山形に行こう!」
私は母に提案しました。
「お母さん、明日までに荷物の準備を終わらせたら、山形に行こう!」
すると母は目を輝かせて、「ほんとに⁉」と大喜び。
部屋の空気がパッと変わりました。
すぐに運送会社に電話し、翌日の16時に集荷をお願い。
「それまでに終わらせよう!」と、母も私たちも一気にギアが入りました。
そしてついに、すべての準備が完了。
私たちは母と一緒に、1泊だけの弾丸・山形ツアーに出かけたのです。
“体感”は、部屋の広さだけじゃなかった
この経験を通して気づいたのは、
「狭くなるから減らそう」ではなく、
「大切なことのために、今やるべきことを終わらせよう」
という“感情のスイッチ”が、母を動かしたということ。
次回は、山形での旅先で見えた「母の変化」についてお話ししたいと思います。
片づけkankan
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